将棋倶楽部24
将棋倶楽部24(しょうぎくらぶにじゅうよん)は、インターネット上でネットワーク対局により将棋を無料で指せるサイト。2014年現在、会員数は30万人を超える。 1998年に富士フイルムビジネスイノベーションの社内ベンチャービジネス事業としてサービスが開始され、2001年には有限会社化された。2006年11月1日には、同社のインターネット将棋対局事業を日本将棋連盟に譲渡することで合意した。 概要レーティング(簡略化したイロレーティング)による客観的な棋力評価とハンドルネームによる匿名性がある。ハンドルネーム(ユーザー名)の取得にはメールアドレスが必要になる。フリーメールは原則不可、ただし取得が困難な場合は、事情を説明すれば登録が可能となる場合もある。ハンドルネームを取得することにより、レーティング、棋譜保存、チャットなどの機能が使用可能となる。 道場として「東京道場」「大阪道場」の二つの対局場が設定されている。通常は「東京道場」に人が集まることが多く、接続不良の場合や24名人戦などのイベントがある場合は「大阪道場」に人が集まる。従来の最高同時入場者数はそれぞれ3000人で、特に平日の夜や休日の「東京道場」は混雑してログインが困難になることが多かった。2009年4月25日のメンテナンスで、上限が実験的に4000人に引き上げられ、さらに5月からは4000人以上(具体的な上限は非公表)に再度引き上げられた。それ以降は、最も人が集まる週末や休日の夕方でさえ満員になったことがないがゲストログインは制限される場合がある。 管理者の久米宏(取締役)はキャスター久米宏と同姓同名の別人であり、登録会員数が多いにもかかわらず実質久米1人で管理している。 PC版長年Javaアプレットを使用しており、そのため2015年より一部ブラウザ(Windows 10のデフォルトブラウザMicrosoft Edge、Google Chromeなど)で動作不可になった。公式サイトではInternet ExplorerなどJavaが動作するブラウザを使用するように勧告した[1]。その後、ブラウザではなくJava Web Start技術を使ったデスクトップアプリケーションを配布するように変更された[2]。 2021年1月末でOracle社がJavaのアップデートを終了するのに伴い、2020年11月、HTML5版が暫定的に開設された。こちらはInternet EXplolerでの利用は不可と明言されている。 モバイル版2008年からは専用の有料サイトを介して携帯電話(フィーチャーフォン)からの接続も可能になった。ただしゲストでのログインしかできず、ログイン後のハンドルネームの先頭に「#」がつく。 2013年にスマートフォン向け(iOS / Android)アプリが公開された[3]。アプリでは1日1局までは無料で対局できる。それ以降は有料である。 特徴
レーティングシステム将棋倶楽部24では、簡略化されたイロレーティングを用いて、ユーザーの実力を数値化している。また、このレーティングによって、以下のように段級位を定めている。
級位は日本将棋連盟のアマチュア段級と同じで[注 1]、段位は八段まである。さらに最下位に「初心者」が設けられている。「初心者」での登録は「駒の動きを覚えた初心者」のみが対象で、それ以上の実力者は15級以上が推奨される。詳細は将棋倶楽部24レーティングを参照。 段級位の目安将棋倶楽部24での段級は、級位ならびに低段位においては日本将棋連盟および、『将棋世界』やWeb上の検定、町の将棋道場などで認定されるアマチュアの段級よりかなり厳しく、奨励会やプロ棋界で用いられている段級との中間くらいのレベルであると言われている。たとえ最下位の「初心者」であっても、実際は一通り指せている会員が多いため、文字通りの初心者が登録してもなかなか勝てないといわれている。会員アンケートから、コンピュータ将棋のブラウザゲーム「ハム将棋」に「勝ったら24デビューがいいかもしれません。」と考察がされている[4]。競合将棋対局サイトの「81Dojo」代表の川崎は、将棋倶楽部24の初心者から初級者のレーティングは実際の町道場の級と乖離しすぎている(いわゆるレーティングデフレを起こしている)と指摘している[5]。 高段においてはプロ棋界で用いられている段級(勝ち数昇段規定)よりも辛くプロ棋界で用いられている段級(順位戦昇級時規定)より甘いレベルである。 2002年の段階では「将棋倶楽部24の初段は町道場の三段程度である」という比較がされており、また、かつて米長邦雄が将棋倶楽部24のシステムを利用して5級~7級の相手に4連勝で初段免状、2級~4級の相手に4連勝で二段免状を取得できる免状獲得戦を行っていたのが段級比較の際の目安になる。これによる免状取得の場合、米長が推薦人として免状に名を連ねていた。 なお、2013年より、将棋倶楽部24で5級以上になっている会員は、そのまま日本将棋連盟のアマチュア段級位として免状・認定状を取得する資格を持つようになった(認定可能なのは六段まで[6][7])。 登録時のレーティング登録は自己申告制となっており、対局30局以下の場合はレーティング値の後ろに「2400?」のように「?」がつけられる。その後は上述のように随時推移し、一般的に、対局を重ねるほど相対的に正しい棋力を表している点数に落ち着いてくる。当初申告したレーティングが適切でないと判断した場合には、対局数が10局未満の場合に限り、管理者にメールしレーティングを変更してもらうことができる。 タイトル戦
通常、道場の利用者一覧の「棋力」の列には段級が表示されるが、タイトルを獲得した場合は「名人」「十段」のようにタイトル名が表示される(ただし、名簿や道場内の検索では通常の段級が表示される)。 企画Xは誰だ?2007年1月から12月まで全12回に渡り行われた、将棋世界とのコラボレート企画。月替わりで一人のプロ棋士が「@X」というハンドルネームで東京道場に登場し会員と平手(早指し)で対局。その棋士が誰かを当てるというもの。 以下は歴代Xの詳細。
ソフト指し問題予てから好事家の間では疑惑の人物の指し手とソフトの指し手との一致率を調べるという方法が用いられており、将棋倶楽部24でソフト指しが蔓延しているとの噂が絶えなかった。無論このような事象は後発の他サイトでも普通に見られたが、将棋倶楽部24では特に顕著であったと言われる。そこで将棋倶楽部24では2008年1月7日に24ソフト指し取締委員会を設置してソフト指しの全面的な取り締まりを開始した[8]。 ソフト開発者将棋ソフトの開発者は、事前に運営に申告を行うことによって自らのソフトを対局者として登録することができる。2011年5月には第21回世界コンピュータ将棋選手権で5位に入賞した「ponanza」が参戦し最高レートを3211点に更新、2011年12月には同年の同選手権で優勝した「ボンクラーズ」が最高レーティング記録を3364点に更新した。また、2013年5月には第23回世界コンピュータ将棋選手権で準優勝した「ponanza」が再び参戦し、最高レーティング記録を3453点まで伸ばした。ただしこれらの記録は参考記録扱いになっている。 エピソード
脚注注釈
出典
関連項目外部リンク
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