日産・HRエンジン
日産・HRエンジンは、日産自動車とルノーグループが共同開発したガソリンエンジンの系列である。QGエンジンの後継として、2004年9月に登場したティーダを皮切りに小型乗用車・商用車に搭載されている。シリンダーボア78.0mm、75.5mmそして72.2mmの3種類が存在しており、72.2mmバージョンはメルセデス・ベンツ・グループも開発に加わっている。 概要主に税制の違いにより、日本国内向け車種には通常HR15DEが搭載され、HR16DEは日本国外向けの車種・仕様に多く搭載される。日本国内向けのHR16DEは、乗用車はイギリス日産製のK12型マイクラC+C、ティーダラティオ教習車、E11型ノートのMT車など、トルクの求められる商用車向けとしてADの4WD車及びNV200バネットに搭載されている。 2006年12月に改良を実施。カムシャフトの鏡面加工仕上げやCVTCの作動角の拡大、オルタネーターへの回生機能の付加などによって、従来型よりもエネルギー効率を向上させた上で、従来型を搭載する一部の車種に採用される[1]。 2009年4月の改良では、エンジン本体および組み合わされるエクストロニックCVTの制御の見直しによってさらに燃費を向上させ、従来型を搭載する一部の車種に採用される[2]。 2010年3月にタイで先行発売されたK13型マーチに直列3気筒のHR12DEが搭載された[3]。また、2011年にはアイドリングストップ機構とスーパーチャージャーを追加した直噴ガソリンエンジン・HR12DDRの追加がアナウンスされ[4]、欧州向けマーチ(マイクラ)に搭載された。国内市場では2012年発売の2代目ノートに搭載された。 2010年6月には量産車としては世界初のデュアルインジェクターを採用したHR15DEをジュークに搭載した。デュアルインジェクターは燃料噴射を1シリンダーあたり2本のインジェクターで行い、燃焼効率を安定させるものである。 2012年、このHRエンジンをベースにルノーが開発したHエンジン(H5Ft)がメガーヌ3に搭載され、以降同社の小型車を中心に搭載されている。2018年にはメルセデス・ベンツ・グループも加わり、1.3LのH5Hが登場。ルノー、メルセデス・ベンツ、日産の一部車種に搭載されている。 ボア 78.0mm (2004年-)HR10DE / H4D (ルノー)
搭載車種
HR10DET(HRA0DET)
※LPG仕様は最大トルク:160N·m(16.3kg·m) 搭載車種HR10DDT
搭載車種HR12DE
搭載車種
HR12DDR
圧縮比は国内と欧州で異なる(国内:12.0・欧州:13.0)。過給器付としては高い数値だが、ミラーサイクルエンジンであるため有効圧縮比はこれより低い。 搭載車種
HR14DDe
搭載車種
初のe-POWER発電専用エンジン。ボア径はHR12DEと共通ながら、100mmというロングストローク設計。振動・騒音対策として随所にバランスウェイトを配置している[5]。第33回(2024年次)RJCカー・オブ・ザ・イヤー・テクノロジーオブザイヤー受賞[6]。 HR15DECVTと組み合わせることで、豊かな低速トルクと中・高速の伸びを実現した[7]。
デュアルインジェクターつき(スペックは仕向けにより異なる)
搭載車種
HR16DE / H4M (ルノー)ルノー・グループではH4M(デュアルインジェクター付はH4Mk)と称する。また三菱やマツダでは日産同様のHR16DEと称する。
搭載車種
ボア 72.2mm (2012年-)HR09DET / H4Bt (ルノー) / M281 (メルセデス・ベンツ)直列3気筒 0.9L (898cc) マルチポイント・インジェクション、ターボチャージャー付き。最高出力は5500 rpmで66 kW (89 hp; 90 PS)、最大トルクは2250–2500 rpmで135 ~ 140 N·m (100 ~ 103 lbf·ft)を発生する。ルノーでのマーケティング名はTCe90、TCe95である。また、110hp版(TCe110)がトゥインゴGTに用意されていた。 搭載車種
HR12DDT / HRA2 / H5Ft (ルノー)直列4気筒 1.2L (1,197cc) オールアルミ製、ダイレクトインジェクション、ターボチャージャー、タイミングチェーン駆動DOHC、VVT、可変容量オイルポンプ、スタートストップ、回生ブレーキ付き。ルノーでのマーケティング名はTCe115、TCe120、TCe125、および TCe130である。 このエンジンの一部は世界各地で異常なオイル消費問題等が発生しており、ルノー・ジャポンでは2020年11月25日にリコール届出をしている(外-3126)。 最高出力及び最大トルクは以下の通りである。
搭載車種
HR13DDT / H5Ht (ルノー) / M282 (メルセデス・ベンツ)直列4気筒 1.3 L (1,332 cc) オールアルミ製、ダイレクトインジェクション、ターボチャージャー、タイミングチェーン駆動DOHC、VVT、可変容量オイルポンプ、スタートストップ、回生ブレーキおよび日産・GT-Rと同様のボアスプレーコーティング システムを採用。 このエンジンは WLTP (Euro 6c) をテストしている。また、気筒休止技術が追加された。最高出力及び最大トルクは以下の通りである。
搭載車種
HR10DET / HRA0 / H4Dt (ルノー)ターボチャージャー付き直列4気筒レイアウトで排気量は1.3 L (1,332 cc)。マルチインジェクション方式を採用している。 最高出力は5,000 rpmで74 kW (100 PS; 99 hp)、最大トルクは1,750 rpmで160 N⋅m (118 lbf⋅ft)を発生する。このエンジンはLPGにも対応しているが、最高出力は変わらず、最大トルクは2,000rpmで170 N⋅m (125 lbf⋅ft)となる。 搭載車種
HR10DDT / HRA1 / H5Dt (ルノー)直列3気筒 1.0 L (999 cc) オールアルミ製、ダイレクトインジェクション、ターボチャージャー、タイミングチェーン駆動DOHC、VVT、可変容量オイルポンプ、スタートストップ、回生ブレーキおよび日産・GT-Rと同様のボアスプレーコーティング システムを採用。 搭載車種
ボア 75.5mm (2022年-)HR12DDV / HR12 (ルノー)直列3気筒 1.2L (1,197cc) オールアルミ製、可変ジオメトリーターボチャージャー付き。48VのmHEVに搭載される。タイミングチェーン駆動、12バルブDOHC、VVT、可変容量オイルポンプ、電動ウォーターポンプ、アイドリングストップ、回生ブレーキおよびボアスプレーコーティングを採用。E-Techに搭載されるものは最高出力130 hp (96 kW)、最大トルク205 N·m (151 lbf·ft) を発生する。通常では 230 N⋅m (170 lbf⋅ft)、用途に応じて最高出力150 hp (110 kW)、最大トルク 230 N⋅m (170 lbf⋅ft)のエンジンも用意されている。これらのエンジンのルノーでのマーケティング名は、TCe130、TCe 150 (グランオーストラルに搭載)、E-Tech 160、および E-Tech 200 である。 搭載車種
脚注
関連項目 |