横浜ハンマーヘッド
横浜ハンマーヘッド(よこはまハンマーヘッド)は、神奈川県横浜市中区新港の複合施設。客船ターミナル(新港ふ頭客船ターミナル)を中核に、商業施設(ハンマーヘッド SHOP&RESTAURANT)、ホテル(インターコンチネンタル横浜Pier 8)からなる[6]。2019年10月31日に開業した[5]。なお、施設名の「ハンマーヘッド」は歴史的産業遺構「ハンマーヘッドクレーン」に由来する[7](後節も参照)。 歴史→「新港 (横浜市) § 新港埠頭の岸壁」も参照
横浜港に寄港する大型客船(クルーズ客船)について、大さん橋単独では対応に限界があることから新港埠頭でも受け入れを可能とするため、9号岸壁[7]の耐震化および延伸・増深整備[8][9][10]と、公民連携(事業提案方式)でかつての新港客船ターミナル[注 1]に代わる新たな客船施設[注 2]を整備する計画が進められた[9][12][13]。 同岸壁を既存の「延長220メートル・水深7.5メートル」から「延長340メートル・水深9.5メートル」に拡張して、11万6千総トン級にも対応[14][15][16]できるようにするなど横浜港に寄港する船舶の8割の受け入れを可能とするもので[9][10]、横浜市では2014年7月に同岸壁の延伸・増深整備(大型客船対応化)に関する基本設計をオリエンタルコンサルタンツに委託[17]、2016年度より既存施設と古い岸壁の撤去工事に着手した[11][12]。 一方、客船施設については2017年10月、「みなとみらい21 新港地区客船ターミナル(仮称)整備」の事業者として、横浜岡田屋を代表とした地元企業など計8社で構成[注 3]される企業グループ「Yokohama Pier9(仮称)」が選出された[18]。その後、同グループの構成企業が中心となって新港ふ頭客船ターミナル株式会社を設立し、市との公民連携事業としてCIQや商業・サービス施設、宿泊施設(ホテル)、駐車場、交通広場、プロムナード(公園・広場)などを整備する「ヨコハマ・ハンマーヘッド・プロジェクト (YOKOHAMA HAMMERHEAD PROJECT)」が2018年6月に着工した[19]。 公民連携事業として横浜市が土地(みなとみらい新港地区6-1街区)[20]を事業者に貸し付ける形で整備され[21](事業用定期借地権の契約期間は49年[21]、2018年3月に同契約の合意書締結[19])、その上でCIQ施設部分のみ市が事業者から床を賃借し管理運営される[18]。 2019年6月、複合施設の総称が「横浜ハンマーヘッド」に決まったと発表[7]。当初は同年春頃の一部開業(供用開始)を目指していたが[12][16][18][注 4]、半年ほど工期が延びて商業施設とホテルは同年10月31日に開業を迎えた[22]。当施設のコンセプトは街と陸・海・空をつなぐ海の駅「ヨコハマ ウミエキ」[23][7][24]。客船ターミナル・商業施設・ホテルなどからなる地上5階建ての複合施設で、1階が商業施設およびCIQ、ホテルエントランス、2階が商業施設およびホテルフロント、3-5階がホテル客室となる[6][23]。 施設構成
新港ふ頭客船ターミナルCIQ機能を備え国際客船にも対応した客船ターミナル。2019年11月4日のカーニバル・コーポレーション「ダイヤモンド・プリンセス」の入港と共に供用開始となった。開業当初は「ぱしふぃっくびいなす」が主に入港しているが、今後はその他の客船の入港も予定されている[32]。
ハンマーヘッド SHOP & RESTAURANT
食を中心とした25のテナントが入っており、2階にはコミュニティ放送局「横浜マリンエフエム」のサテライトスタジオが設置されている。 主なテナント
営業時間
ハンマーヘッドパーク→「新港 (横浜市) § 新港埠頭の岸壁」も参照
当施設(6-1街区、8・9号岸壁間)の海側先端部(5街区)[7][20]に現存する歴史的に貴重な産業遺産、ハンマーヘッドクレーン(50t定置式電気起重機)[41][42][43]の遺構周辺(約0.3ha)に整備された多目的イベント広場で、当施設の建物2階部分とも「ハンマーヘッドデッキ」で接続される[28]。広場とデッキは共に2020年8月供用開始[30][31]。 産業遺産「ハンマーヘッドクレーン」1914年(大正3年)に建造されたイギリス製の50tジャイアント・カンチレバークレーンで、日本に3基(他は長崎県長崎市および佐世保市に稼働状態で現存)、世界でも17基しか存在しない貴重な産業遺産である[42][44][45]。2007年に近代化産業遺産(経済産業省)に認定、さらに2018年には土木学会選奨土木遺産にも認定されている[44][45]。 関東大震災(1923年)でも倒壊せず[46]、戦後はGHQに接収され使用できない期間(1945年-1956年)もあったが、高度経済成長(1960年代)に入ると再び活躍した。1970年代以降、コンテナ化の進展と共に横浜港の港湾機能はより水深の深い本牧埠頭や大黒埠頭が中心となったため徐々に使用されなくなり[44][45][47]、2001年に廃止された[7]。 2010年には国が塗装の塗り替えおよび基礎補強工事を実施しており、耐震性の強化が図られている[11]。 なお、「ハンマーヘッドクレーン」という呼び名はカナヅチに似たその形状(ハンマーヘッド型)に由来している[44]。
アクセス
所在地:横浜市中区新港2丁目14番1(MAP) 公共交通機関鉄道・バス・索道
定期航路自動車
ギャラリー
周辺の主な施設→「新港 (横浜市) § 地理・施設」も参照
その他
脚注注釈
出典
参考文献
関連項目
外部リンク |