グランモール公園
グランモール公園(グランモールこうえん)は、神奈川県横浜市西区みなとみらいにある都市公園(近隣公園)。みなとみらい地区の中央地区を約700メートルにわたって南北に貫いている。また、同地区の開発計画の35街区ほか[注 1]に該当する[1][2][3]。 概要1987年(昭和62年)度に着工し、1989年(平成元年)の横浜博覧会の開催とともに博覧会のパビリオンとして横浜美術館が完成[4]、現在ではグランモール公園の一部に当たる美術館前の「美術の広場」も同時に利用可能となった。その後、1991年(平成3年)12月に同広場などを含み一部開園すると、1999年(平成11年)11月にはグランモール公園として全面開園している[3]。 公園は幅25メートル、ランドマークプラザとクイーンズスクエア横浜の中間部分に当たる「ヨーヨー広場」から横浜アイマークプレイス前の「眺めの広場」まで約700メートルにわたって一直線に整備されている。公園の南部はみなとみらい線のみなとみらい駅と近く、北部は同線の新高島駅に近い。また、1988年(昭和63年)に策定された「みなとみらい21街づくり基本協定」[5]において、公園の10メートル範囲内では建築物の高度制限が20メートルに取り決められている(なお、公園周辺のプロムナードゾーンの高度制限は120メートルである)[6]。 さらに、当公園はみなとみらい地区における重要な歩行者動線・都市軸である「グランモール軸」の大部分を占めており、ヨーヨー広場では「クイーン軸」とも交差している[注 2](軸の詳細は「横浜みなとみらい21#ペデストリアン軸(歩行者動線)」を参照)。 開園から20年以上が経過して設備の老朽化や周辺環境の変化などが見られるため、2015年(平成27年)度より約2年かけて公園全体の再整備(リニューアル)が実施された[7](詳細は後節を参照)。 公園内各エリアの特徴円形広場・ヨーヨー広場さくら通りに面する公園の最南部には階段状の「円形広場」があり、週末を中心に大道芸などのイベントスペースとなっている(後節参照)。また、円形広場のすぐ隣の横浜ランドマークタワー側には国の重要文化財にも指定されている「ドックヤードガーデン」(旧横浜船渠第2号ドック跡)がある。 円形広場より階段を上ると、ランドマークプラザ(25街区)およびクイーンズスクエア横浜(24街区)の中間地点に当たる「ヨーヨー広場」となるが、最上壽之による高さ約17メートルの巨大ステンレス製彫刻「モクモク・ワクワク・ヨコハマ・ヨーヨー」(1994年完成)[注 3]が置かれていることから、この名称で呼ばれる(彫刻の設置場所では前述のようにクイーン軸と交差している)。なお、巨大彫刻の設置にはビル風の抑制という目的もある[9][10]。 この他、ヨーヨー広場の真下に当たる当公園1階部分にはギャラリーや休憩所などが設置されている「クロス・パティオ」がある[11]。さらに災害等の非常時における飲料水の確保を目的として、ヨーヨー広場の地下には容量約1,000トンの耐震型循環式地下貯水槽が設けられている(みなとみらい地区全体では約4,500トンとなる)[2]。 ヨーヨー広場から美術の広場方面へは連絡橋「グランモール橋」によってけやき通り頭上を通過し、途絶えることなく連続的に歩行者専用通路(歩行者動線)が整備されている。
美術の広場「水と緑と光と音」をテーマとし横浜美術館(36街区)前に整備されている広場で、公園の中心部分(35街区)に位置する[1]。広場内にはケヤキが連続的に植えられており、両脇には横浜のキングの塔・クイーンの塔を象ったパーゴラが見え隠れしている。また、美術館のすぐ前には水面が広がっており、噴水やミストによる演出が行われている。夜間には夜光虫のように点在発光する地面(1980年代に石井幹子がデザインした夜光海ペーブ[14])の他にライトアップ(間接照明)も行われている。この他、広場の地下には自転車駐車場も整備されている。 広場を挟んで美術館の向かい側に当たる34街区では、みなとみらい地区において最大規模の店舗面積を誇る三菱地所の商業施設「MARK IS みなとみらい」が2013年(平成25年)6月に開業した。 広場から北に向かうといちょう通りがあり、横断歩道によってここでいったん公園および歩行者専用通路が途切れている。
桟橋の広場・眺めの広場いちょう通りより北のエリアでは両脇にそれぞれの施設を置きつつ、途中の横断歩道を除き快適に移動できる歩行者専用通路(歩行者動線)として連続的に整備されている。また、後節の再整備事業にあたってみなとみらいグランドセントラルタワー前〜リーフみなとみらい前は「桟橋の広場」[注 4]、横浜アイマークプレイス前は「眺めの広場」[注 5]という名称が新たに付いている[7]。
公園の範囲はここまでであるが、歩行者動線のグランモール軸はすずかけ通り頭上を通る「すずかけ通り歩道橋」により53街区の横浜シンフォステージ[16] (旧GENTO YOKOHAMA跡地の再開発)・新高島駅方面へと続き、さらにその先は横浜駅東口方面[注 6]および歩行者動線・都市軸の一つである「キング軸」へ接続している。
公園沿いの施設当公園沿い(両脇)には以下の施設が並んでいる。
イベント
ギャラリー
公園全体の再整備事業1991年(平成3年)の一部開園より20年以上が経過して公園設備の老朽化に加え、周辺の開発が進み利用環境も変わってきていることから街の中で一体的な活用ができるよう、より魅力のある公園を目指して全体の再整備(リニューアル)が実施されている[22][23]。 具体的には、当公園におけるこれまでの水や緑(木々)のイメージを継承し、安全や永続性に配慮しつつミスト・噴水・水盤など水の様々な形態での活用、樹木の増加や草花を導入して効果的に配置した上で屋上緑化など周辺施設も巻き込んで緑を創出する。また、環境に配慮して再生可能エネルギーや最新技術を導入した照明等により光の空間の効果的な創出を目指す。さらに、周辺施設と一体的に利用できる賑わいスペースやイベントにも対応できる広場を確保し、ベンチなどの設備デザインとモニュメンタルな要素により個性を演出しつつ、各エリアの中心軸を繋ぐ波紋パターンの舗装などデザインの統一を図ることで、公園全体での一体感を演出するとしている[7][23]。 横浜市では2013年(平成25年)度〜2014年(平成26年)度に再整備設計案を作成し、それを基に2015年(平成27年)度〜2016年(平成28年)度にかけて再整備工事が実施された[22][24][25]。
なお、当公園は2017年(平成29年)3月〜6月に開催される第33回全国都市緑化よこはまフェア「みなとガーデン」会場の一つとなっていたことから[26]、2015年(平成27年)4月に公表された当公園の再整備実施設計内のスケジュール[7]によると、2016年(平成28年)度中に大部分(第二期区間)の整備を進めるものの、2017年(平成29年)には緑化フェアおよびヨコハマトリエンナーレの準備と開催でしばらく工事を中断し、これらのイベントが終了した同年11月頃〜2018年(平成30年)3月頃にかけて円形広場など一部箇所[12]のリニューアル工事を実施、翌4月に全面リニューアルオープンする計画となっていた。しかし、実際には円形広場などのリニューアルは実施されず(補修など些細な更新に留まる)、第二期区間の整備を終えた2016年度中を以て今回の再整備事業は終了している。 上記の再整備に対して、「土木学会デザイン賞 2018」の奨励賞[27]および「第5回美し国づくり大賞」の大賞[28]、2018年度グッドデザイン賞受賞[29]を受賞している。 脚注注釈
出典
関連項目
外部リンク
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