石破おろし(いしばおろし)は、2024年(令和6年)に起こった、第102・103代内閣総理大臣の石破茂への退陣要求である。
背景
2024年(令和6年)10月9日、首相である石破茂自由民主党総裁は、10月27日に執行が予定される第50回衆議院議員総選挙の勝敗ラインを「自公で過半数」すなわち定数465議席のうち233議席以上を取ることと定めたが[* 1]、執行された選挙の投開票の結果、自民党は191議席・公明党は24議席で自公合わせて215議席という、自民単独過半数にも自公過半数にも到達しない大敗となった[* 2]。
議席確定による大敗が決まった翌日の10月28日、自民党臨時役員会が開かれ、そこで小泉進次郎自民党選挙対策委員長は責任を取って辞表を提出、受理された[* 3]。しかし、同日午後に開かれた会見に出席した石破総裁は退陣ではなく続投を表明[* 4]、また森山裕自民党幹事長も同日中に続投する意欲を見せた[* 5]。
経過
総選挙での大敗を受けて、自民党内から退陣を求める「石破おろし」の声が上がりだした[* 6]。10月28日、来年の改選に該当しない参議院議員の青山繁晴は自身のYouTubeチャンネルに於いて退陣を要求[X 1]、翌日にはX(旧Twitter)でも「内閣総理大臣は即、辞任せねばなりません。」と改めて要求した[X 2]。同じく該当しない山田宏参議院議員も「選対委員長の辞任で済む話ではない」と退陣要求をほのめかした[X 3]。今回の選挙に出馬し当選した山口壯元環境大臣は「即刻総裁を辞めてほしい」と発言[* 7]、また出馬しなかった自民党千葉県連会長の桜田義孝元五輪大臣も「退陣しないでのうのうと続けるのは到底耐えられない」と早期退陣を要求した[* 8]。出馬し当選した英利アルフィヤも「党の大先輩方、執行部には潔く責任をとってほしい。」と発言している[X 4]。
また、28日から29日にかけて、次のとおり論調の異なる産経新聞・読売新聞と朝日新聞の社説で同様に退陣を求める報道が出た[* 9]。
- 『朝日新聞』社説
- 「躍進した立憲民主党を上回り、自民党がなお議会第1党だとしても、「自公で過半数」という自ら設定した最低限の目標を達成できなかった以上、石破首相は職を辞すのが筋だ。」(10月28日)[* 10]
- 「小泉進次郎選挙対策委員長が引責辞任したが、選挙の結果責任を負うのは、本来、トップのはずである。」(10月29日)[* 11]
- 『産経新聞』社説「主張」
- 「自身が設定した与党過半数という勝敗ラインを割り込む大敗の責任をとらずに、石破首相が政権に居座ろうとするのは信じがたいことだ。責任をとって潔く辞職すべきである。」(10月29日)[* 12]
- 『読売新聞』社説
- 「国民に信を問うために断行した衆院解散・総選挙で大敗した以上、石破首相が取るべき道は明らかだ。政権に居座り、政局の混乱を長引かせることは許されない。速やかに進退を決することが憲政の常道である。」(10月29日)[* 13]
一方で、国民世論では「辞任の必要がない」とする意見が多数を占め、共同通信社の世論調査では65.7%[* 14]、JNNの世論調査では71%[* 15]、FNNの世論調査でも55.3%が続投してもよいと回答している[* 16]。また自民党内にあっても、少数与党状態で政権運営の展望が見えないという事情などから「石破おろし」へと大きく舵を切ることはできず、11月7日に開催された両院議員懇談会では、批判や不満の声が出た一方で明確に退陣を要求したのは青山繁晴のみであり[* 17]、その青山も当初に比べて態度を軟化させ、即座の退陣ではなく補正予算成立後に辞意表明すべきとしている[X 5]。その結果、11月11日に召集された特別国会で行われた首班指名選挙で石破が当選し、第2次石破内閣が成立することになった[* 18]。
脚注
注釈
新聞サイト出典
X出典
関連項目
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前身: 自由党・日本民主党 |
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保守本流 |
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宏池会(池田派 → 前尾派 → 大平派 → 鈴木派 → 宮澤派) → 木曜研究会(加藤派 → 小里派 → 谷垣派 → 古賀派に合流×) 、※新財政研究会(堀内派 → 丹羽・古賀派) → 宏池政策研究会(古賀派 → 岸田派 → ×)、※大勇会(河野派) → 為公会(麻生派) → 志公会(麻生派)、※有隣会(谷垣グループ → ×)
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木曜研究会(佐藤派) → 周山会(佐藤派) → 周山クラブ(保利グループ → 福田派に合流×)、※七日会(田中派) → 政治同友会(田中派) → 木曜クラブ(田中派 → 二階堂派 → ×)、※経世会(竹下(登)派 → 小渕派) → 平成政治研究会(小渕派) → 平成研究会(小渕派 → 橋本派 → 津島派 → 額賀派 → 竹下(亘)派 → 茂木派)、※改革フォーラム21(羽田・小沢派 → 新生党に合流×)
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白政会(大野派) → 睦政会(大野派) → 一新会(船田派 → ×)、※一陽会(村上派) → 巽会(水田派 → ×)
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保守傍流 |
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十日会(岸派 → ×)、※党風刷新懇話会 → 党風刷新連盟 → 紀尾井会(福田派) → 八日会(福田派) → 清和会(福田派 → 安倍(晋太郎)派 → 三塚派) → 21世紀を考える会・新政策研究会(三塚派 → 森派) → 清和政策研究会(森派 → 町村派 → 細田派 → 安倍(晋三)派 → ×)、※政眞会(加藤派 → 新生党に合流×)、※愛正会(藤山派 → 水田派に合流×)、※(南条・平井派 → 福田派に合流×)、※交友クラブ(川島派 → 椎名派 → ×)、※(亀井グループ → 村上・亀井派に合流×)
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春秋会(河野派 → 森派 → 園田派 → 福田派に合流×)、※新政同志会(中曽根派) → 政策科学研究所(中曽根派 → 渡辺派 → 旧渡辺派 → 村上派 → 村上・亀井派に合流×) → 志帥会(村上・亀井派 → 江藤・亀井派 → 亀井派 → 伊吹派 → 二階派 → ×)、※近未来政治研究会(山崎派 → 石原派 → 森山派 → ×)、※さいこう日本(甘利グループ)、※国益と国民の生活を守る会(平沼グループ → 日本のこころに合流×)
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政策研究会(松村・三木派) → 政策同志会(松村・三木派) → 政策懇談会(松村・三木派 → ) → 政策懇談会(三木派) → 新政策研究会(河本派) → 番町政策研究所(河本派 → 高村派 → 大島派 → 山東派 → 麻生派に合流×)、※(松村派 → ×)、※(早川派 → 福田派に合流×)
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火曜会(石橋派)、二日会(石田派 → 三木派に合流×)
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青嵐会 |
青嵐会、自由革新同友会(中川グループ → 石原グループ → 福田派に合流×)
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保守新党 |
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83会 |
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水月会 |
さわらび会(石破グループ) → 水月会(石破派 → 石破グループ)
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無派閥 |
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※は派閥離脱、太字は現在への系譜、括弧内矢印は派閥継承。 |
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