岩井俊二
岩井 俊二(いわい しゅんじ、1963年1月24日 - )は、日本の映画監督・映像作家・脚本家・音楽家。脚本家としては、網野 酸(あみの さん)というペンネームを用いることもある。血液型はO型。 経歴・人物宮城県仙台市出身[2]。仙台市立西多賀中学校[3]、宮城県仙台第一高等学校、横浜国立大学教育学部美術学科卒業。学生時代から小説家を目指し、美術の学科に入ったのもその道に影響すればいいと思ったためである。絵はあくまでも趣味で描き、漫画の持込みなどもした。卒業前にも就職活動をせず、とにかく映像関係の仕事に就くためアルバイトをしながら人脈を広げる。 小学時代、ほかに家にレコードがなかったため、百科事典のオマケについていた『世界の名曲』というレコード集でシューベルトやショパンを聴き込んでいたという。ターンテーブルは幼稚園の頃から家にあった[4]。 大学卒業後の翌1988年、ビーイングなどのミュージック・ビデオの仕事を始める。1993年、テレビドラマ『if もしも~打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』を演出し、日本映画監督協会新人賞を受賞。テレビドラマでの受賞はきわめて異例である。同作品は再編集され、1994年劇場公開される。1995年、初の長編映画『Love Letter』を監督。日本や中国でも好評だったが、韓国では特に爆発的な人気を呼んだ。これに続く『スワロウテイル』は賛否両論あったが、岩井の知名度を大きく上げた作品である。 その後長編・短編作品を順調に公開し、独特な映像美から「岩井美学」などと呼ばれるようになる。初めてドキュメンタリーを発表した1999年頃から劇映画の監督業以外にもフィールドを広げ、2000年には庵野秀明監督作の『式日』に俳優として出演。新しい技術の取り組みにも熱心で、日本で最初にAVIDによるノンリニア編集を取り入れ、『式日』と同じ年にはインターネット上のBBSを使った大衆参加による小説『リリイ・シュシュのすべて』を完成、映画化する。この映画もまたHD24Pという、フィルム表現に近いデジタル撮影による新しい方法で行われ、仮編集はApplePowerBookが用いられた。この撮影法をいち早く取り入れた一人である。また、2003年にはWEB配信という新しい上映方法で『花とアリス(ショートフィルム)』を公開。 2004年4月1日からオフィシャルのウェブページでシナリオ募集していた『しな丼』のコーナーを閉鎖し、「戯作通信」こと『playworks(プレイワークス)』というウェブサイトを開設、また合わせてラジオ番組、『円都通信』がスタート。この『playworks』(『しな丼』)で扱われたシナリオがラジオドラマとして毎週放送されていた。その中の作品「虹の女神」(2006年)、「BANDAGE バンデイジ」(2010年)が映画化。プロデューサーとしての手腕も見せる。 2005年より[要出典]ロサンゼルスに拠点を移し活動している[5]。2009年にはフランス・アメリカ合作映画である「ニューヨーク、アイラブユー」に監督の1人として参加[5]。ハリウッドにて初の長編映画「vampire」を撮影した。 映画監督の市川崑へのリスペクトを示している事でも知られており、『市川崑物語』の監督も務めた。 フジテレビの深夜枠であるJOCX-MIDNIGHTのアイキャッチ「音楽美学」を製作した。 なお、2009年横浜開港150周年記念テーマイベント(開国博Y150)において、プロデュース及び、初のアニメ脚本『BATON』を手がけている。 2014年、短編『TOWN WORKERS』で初のアニメーション作品を手がける。 2015年1月8日から、NHKのEテレで『岩井俊二のMOVIEラボ』が放送[6]。 2015年2月20日、長編アニメーション作品『花とアリス殺人事件』を公開。前作に引き続き、ロトスコープで作られた理由は、元々生々しいロトスコープを気持ち悪いと思っていたが、ラルフ・バクシの作品を見て、斬新さや美しさを感じたのがきっかけで、20年前からテストしており、ある水準に達したので挑戦している。実写を線でなぞるだけだと気持ち悪い絵になるため、顔だけ手描きでディフォルメするなど試行錯誤している。 本作でロトスコープアニメーションディレクターを務めた久野遥子について、「久野ちゃんの絵は時代的耐久性があって、たぶん10年経っても20年経ってもバグが発生しない」と評している。[7] 映画プロデューサーの鈴木敏夫には、「アニメ業界でロトスコープはタブー」と否定的な意見も言われているが、本人は「アニメの人達からすると、それはアニメじゃないって事になるんですよ。なぞるだけじゃないかっていう。でも僕からすると、アニメだって言われてる物を見ると、本当の人の動きの美しさに欠ける訳ですよ。こんなんでいいんだろうかって」とも語っている[8]。 2016年2月、NHKで『岩井俊二のMOVIEラボ シーズン2』が放送。 2024年9月23・25日配信の、YouTubeチャンネル『街録ch〜あなたの人生、教えて下さい〜』に前・後編出演。インタビューに対し赤裸々にこれ迄の人生について語った。 作品映像作品テレビドラマ
映画(監督作)
映画(プロデュース等)
ネット配信ムービー
ドキュメンタリー
ライブ映像
短編映像/ビデオクリップ
ミュージックビデオ
テレビCM
テレビ番組
ネット配信番組
メイキング
映画予告編
自主制作映画
著作小説
コミック
エッセイ・対談本
写真集
音楽作品音楽ユニット■YEN TOWN BAND
■Lily Chou-Chou
■LANDS
■ヘクとパスカル
■ikire
■Kyrie
サウンドトラック
作詞
※ 「花は咲く」は、日本放送協会の東日本大震災復興プロジェクトチャリティーソングとして製作された。 その他の作品舞台・ミュージカル
ラジオドラマ
オーディオドラマ
ヌービー・ヌーボー
ストーリーボード
製作中止となった作品
受賞歴
政治的発言2012年9月18日に自身のTwitter公式アカウントで、中国人による日本企業の工場や商店に対する破壊・略奪・放火が頻発した2012年の中国における反日活動に関して、「国(日本政府)があの島(尖閣諸島)を買うことがどれだけ挑発的か考えるべきだ」「侵略された国(中国)がまだ怒っていても当然」、「(日本が)相手国(中国)ばかり責めたのでは相手だって怒り出すのが道理」、 「日本のメディアが中国のことを悪く言い過ぎており、祖国を悪く言われたらどんな気がするかを考えなければならない」と、日本政府の尖閣諸島国有化や日本人の中国に対する態度を非難した。また、中韓で行われている反日教育については「(侵略を)忘れてしまってる日本の方がどうかしている」、「自国(日本)びいきの歴史解釈は受け入れがたい」と日本の歴史認識を批判した。 この件は各韓国紙でも報じられ、これを伝える『朝鮮日報』のコメント欄では岩井を賞賛する書き込みが相次いだ[12]。また、中国人民解放軍総政治部が出版する新聞『解放軍報』の「日本政府は悔い改めないと、自ら苦い結果を味わうことになる」と題する記事の中で、「日本の挑発行為を批判する正義の声」として岩井のこの発言が取り上げられた[13]。 脚注出典
関連項目
外部リンク
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