松本清張原作の映画一覧(まつもとせいちょうげんさくのえいがいちらん)は、松本清張の原作による、映画作品の一覧・リストである。
映画一覧
映画化が検討された作品
- 原作者が映画化を強く希望した作品。堀川弘通、熊井啓、森谷司郎らの監督が映画化の意向を示し、大藪郁子による脚本が作られた。また『デルス・ウザーラ』撮影後の黒澤明が関心を示し、原作者を訪問している。その後、原作者と野村芳太郎により設立された「霧プロダクション」は、同小説の映画化を目的としたプロダクションであった。古田求とブッカー・ブラッドショーの共作によるシナリオが書かれた(この時の留吉役候補として高倉健があがっていたという)。続いて、井手雅人によるシナリオが書かれた(留吉役としてビートたけしを想定)が、野村監督はこれを採り上げず、原作者の手により1984年に「霧プロダクション」は解散した[1]。
- 霧プロダクション設立後、映画製作が構想され、原作者と野村芳太郎、松竹関係者によるロケハンが行われた[2]。その後、再びシナリオハンティングが行われ、大野靖子による脚本が書かれた。山形佐一役がまず高倉健で、のちに渡辺謙で検討され、さらに長谷部警部役に仲代達矢、下沢ヒロ子役に若村麻由美が想定された。製作は東宝・松竹・東映でそれぞれ想定された[3]。
- 新藤兼人による脚本が書かれた(監督は野村芳太郎を想定)。製作は松竹で想定された[4]。
- 井手雅人によるシナリオが書かれた[5]。
- 井手雅人の脚色によるシナリオが書かれた(タイトルは『裂けた記憶』)[5]。
- 井手雅人脚本で映画化が検討され、霧プロダクション解散後は、古田求脚本・三村晴彦監督で検討、良子役を薬師丸ひろ子とするプランもあった。製作は松竹で想定された[6]。
- 石堂淑朗による脚本が書かれた(監督は佐藤純彌を想定)。製作は日活で想定された[7]。
- テイラー・ハックフォード監督、キャッスル・ロック・エンターテインメント製作で構想され、弁護士役にヘレン・ミレン、被告役にジョディ・フォスターを想定、またアメリカでの映画タイトルは『Deep Water』と決められていた[8]。
脚注・出典
- ^ 西村雄一郎「幻の映画『黒地の絵』を夢みた男たち」(『松本清張研究』第5号(1998年、砂書房)収録)、十重田裕一「「黒地の絵」にみるメディアと占領 - 小説から映画台本へ」(『松本清張研究』第13号(2012年、北九州市立松本清張記念館)収録)参照。
- ^ 大村彦次郎「<天然の密室>と松本清張さん」(『松本清張研究』第9号(2008年、北九州市立松本清張記念館)収録)参照。
- ^ 林悦子『松本清張映像の世界 霧にかけた夢』(2001年、ワイズ出版)122 - 126頁参照。
- ^ 脚本全文は、新藤「シナリオ『渡された場面』」(『松本清張研究』第13号(2012年、北九州市立松本清張記念館)収録)参照。
- ^ a b 西村「幻の映画『黒地の絵』を夢みた男たち」参照。
- ^ 林『松本清張映像の世界 霧にかけた夢』127 - 129頁参照。
- ^ 林『松本清張映像の世界 霧にかけた夢』129 - 131頁参照。
- ^ 林『松本清張映像の世界 霧にかけた夢』138 - 143頁参照。
参考文献
- 『疑惑戦線-松本清張スーパー・ドキュメントブック』(1982年、工作舎)
- 白井佳夫・川又昴「松本清張の小説映画化の秘密」(『松本清張研究』第1号(1996年、砂書房)収録)
- 白井佳夫・大木実・西村雄一郎「映画『張込み』撮影現場からの証言」(『松本清張研究』第2号(1997年、砂書房)収録)
- 白井佳夫・堀川弘通・西村雄一郎「証言・映画『黒い画集・あるサラリーマンの証言』」(『松本清張研究』第3号(1997年、砂書房)収録)
- 「新藤兼人、清張文学を語る」(『松本清張研究』第4号(1998年、砂書房)収録)
- 白井佳夫・橋本忍「橋本忍が語る清張映画の魅力」(『松本清張研究』第5号(1998年、砂書房)収録)
- 西村雄一郎「幻の映画『黒地の絵』を夢みた男たち」(『松本清張研究』第5号収録)
- 林悦子 『松本清張映像の世界 霧にかけた夢』(2001年、ワイズ出版)
- 『松本清張研究』第13号(2012年、北九州市立松本清張記念館)
- 桂千穂『松本清張映像作品 サスペンスと感動の秘密』(2014年、メディアックス)
- 西村雄一郎『清張映画にかけた男たち-『張込み』から『砂の器』へ-』(2014年、新潮社)
- 上妻祥浩『旅と女と殺人と 清張映画への招待』(2017年、幻戯書房)