鳴尾記念(なるおきねん)は、日本中央競馬会(JRA)が阪神競馬場で施行する中央競馬の重賞競走(GIII)である。競馬番組表での名称は「農林水産省賞典 鳴尾記念(のうりんすいさんしょうしょうてん なるおきねん)」と表記している[4]。
競走名の「鳴尾」は、1907年に関西競馬倶楽部が兵庫県武庫郡鳴尾村(現在の西宮市)に建設した鳴尾競馬場(1937年に「阪神競馬場」と改称、1943年閉鎖)に由来する[5]。現在地の阪神競馬場は、1949年に竣工した[6]。
正賞は農林水産大臣賞[3][4]。
概要
1951年にハンデキャップの重賞として阪神競馬場の芝2400mで創設され、春(6月)と秋(12月)に年2回施行されていたが、1954年より年1回の施行となった[7]。グレード制導入後はGII[注 1]に格付けされたが、施行時期・距離・競走条件ともに幾度かの変遷を経ている。1997年からは6月に芝2000mで国際競走として施行、宝塚記念の前哨戦とされた[7]。2000年からは12月に移設され、地方所属馬の出走が可能になった一方で国際競走ではなくなり、格付けもGIII[注 1]に変更された[7]。2006年からは芝1800mに変更となり、再び国際競走に指定。2012年より施行時期が6月に再度変更、距離も芝2000mとなった[7]。
競走条件
以下の内容は、2025年現在のもの[3][4][8]。
出走資格:サラ系3歳以上
- JRA所属馬(外国産馬含む)
- 地方競馬所属馬(認定馬のみ、2頭まで)
- 外国調教馬(優先出走)
負担重量:別定
- 3歳56kg、4歳以上57kg、牝馬2kg減
- 2022年6月4日以降のGI競走(牝馬限定競走を除く)1着馬3kg増、牝馬限定GI競走またはGII競走(牝馬限定競走を除く)1着馬2kg増、牝馬限定GII競走またはGIII競走(牝馬限定競走を除く)1着馬1kg増
- 2022年6月3日以前のGI競走(牝馬限定競走を除く)1着馬2kg増(2歳時の成績を除く)、牝馬限定GI競走またはGII競走(牝馬限定競走を除く)1着馬1kg増
賞金
2023年の1着賞金は4300万円で、以下2着1700万円、3着1100万円、4着650万円、5着430万円[3][4]。
歴史
- 1951年 - 5歳以上の馬による重賞競走として、年2回制で創設。春・秋ともにハンデキャップで、阪神競馬場の芝2400mで施行[7]。
- 1953年 - 負担重量を別定に変更。
- 1954年
- 年1回制に変更[7]。
- 出走条件を4歳以上に変更。
- 1955年
- 名称を「農林省賞典 鳴尾記念」に変更(ただし、1957年を除く)。
- 出走条件を5歳以上に変更。
- 負担重量をハンデキャップに変更。
- 1979年 - 名称を「農林水産省賞典 鳴尾記念」に変更。
- 1984年 - グレード制施行によりGII[注 1]に格付け。
- 1987年 - 出走条件を4歳以上に変更。
- 1997年
- 負担重量を別定に変更。
- 国際競走に指定され、外国調教馬が4頭まで出走可能となる(1999年まで)[2]。
- 2000年
- 2001年 - 馬齢表示の国際基準への変更に伴い、出走条件を「3歳以上」に変更[2]。
- 2006年
- 負担重量を別定に変更[9]。
- 国際競走に再び指定され、外国調教馬が5頭まで出走可能となる[9]。
- 2007年 - 日本のパートI国昇格に伴い、外国調教馬の出走枠が9頭に拡大[10]。
- 2012年 - 負担重量を別定に変更[11]。
- 2020年 - COVID-19の流行により「無観客競馬」として開催[12]。
- 2021年 - 京都競馬場の改修工事に伴う開催日割の変更のため中京競馬場で施行[13]。このため、出走可能頭数が18頭に変更される(2022年も同様)。
- 2024年 ー 阪神競馬場リフレッシュ工事に伴う開催日割の変更のため京都競馬場で施行[14]。このため、出走可能頭数が18頭に変更される。
- 2025年 ー 施行時期が再び12月に、施行距離も再び芝1800mにそれぞれ変更予定。
歴代優勝馬
コース種別を表記していない距離は、芝コースを表す。
優勝馬の馬齢は、2000年以前も現行表記に揃えている。
第6回までは年2回制、第7回以降は年1回制。
鳴尾記念(秋)
前述の通り、1953年までは年2回施行され、秋の競走も行われていた。
鳴尾記念(秋)歴代優勝馬
コース種別を記載していない距離は、芝コースを表す。
優勝馬の馬齢は、現行表記に揃えている。
回数 |
施行日 |
競馬場 |
距離 |
優勝馬 |
性齢 |
タイム |
優勝騎手 |
管理調教師 |
馬主
|
第2回 |
1951年12月16日 |
阪神 |
2400m |
トラツクオー |
牡3 |
2:33 3/5 |
小林稔 |
久保田金造 |
岩本政一
|
第4回 |
1952年12月28日 |
阪神 |
1800m |
クインナルビー |
牝3 |
1:54 0/5 |
境勝太郎 |
石門虎吉 |
高橋虎男
|
第6回 |
1953年12月27日 |
阪神 |
2200m |
ボストニアン |
牡3 |
2:17 0/5 |
梅内慶蔵 |
増本勇 |
岡本治一
|
外国調教馬の成績
脚注・出典
参考文献
- 「農林水産省賞典鳴尾記念(GIII)」『中央競馬全重賞競走成績集 【古馬関西編】』日本中央競馬会、2006年、1483-1559頁。
注釈
- ^ a b c d 当時の格付表記は、JRAの独自グレード。
出典
各回競走結果の出典
- 『中央競馬全重賞競走成績集 【古馬関西編】』第1回 - 第58回
- JRA年度別全成績
- (2024年)“第4回 京都競馬 第1日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2024年6月2日閲覧。(索引番号:16011)
- (2023年)“第3回 阪神競馬 第1日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2023年9月10日閲覧。(索引番号:15011)
- (2022年)“第4回 中京競馬 第1日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2023年9月10日閲覧。(索引番号:15011)
- (2021年)“第4回 中京競馬 第1日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2021年6月7日閲覧。(索引番号:15011)
- (2020年)“第3回 阪神競馬 第1日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2020年6月17日閲覧。(索引番号:15011)
- (2019年)“第3回 阪神競馬 第1日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2020年6月17日閲覧。(索引番号:16011)
- (2018年)“第3回 阪神競馬 第1日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2020年6月17日閲覧。(索引番号:16011)
- (2017年)“第3回 阪神競馬 第1日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2017年6月4日閲覧。(索引番号:16011)
- (2016年)“第3回 阪神競馬 第1日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2016年6月6日閲覧。(索引番号:16011)
- (2015年)“第3回 阪神競馬 第1日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2016年6月1日閲覧。(索引番号:16011)
- (2014年)“第3回 阪神競馬 第1日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2016年6月1日閲覧。(索引番号:16011)
- (2013年)“第3回 阪神競馬 第1日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2016年6月1日閲覧。(索引番号:16011)
- (2012年)“第3回 阪神競馬 第1日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2016年6月1日閲覧。(索引番号:15011)
- (2011年)“第6回 阪神競馬 第1日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 6. 2016年6月1日閲覧。(索引番号:35011)
- (2010年)“第5回 阪神競馬 第1日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 10. 2016年6月1日閲覧。(索引番号:34011)
- (2009年)“第5回 阪神競馬 第1日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 10. 2016年6月1日閲覧。(索引番号:34011)
- (2008年)“第5回 阪神競馬 第1日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 11. 2016年6月1日閲覧。(索引番号:34011)
- (2007年)“第5回 阪神競馬 第3日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 11. 2016年6月1日閲覧。(索引番号:34035)
- (2006年)“第3回 阪神競馬 第3日” (PDF). 日本中央競馬会. p. 11. 2016年6月1日閲覧。(索引番号:34035)
- (2005年)“第5回 阪神競馬成績集計表” (PDF). 日本中央競馬会. pp. 3776-3777. 2016年6月1日閲覧。(索引番号:34047)
- (2004年)“第5回 阪神競馬成績集計表” (PDF). 日本中央競馬会. pp. 3798-3799. 2016年6月1日閲覧。(索引番号:34047)
- (2003年)“第5回 阪神競馬成績集計表” (PDF). 日本中央競馬会. pp. 3748-3749. 2016年6月1日閲覧。(索引番号:34047)
- (2002年)“第5回 阪神競馬成績集計表” (PDF). 日本中央競馬会. pp. 3707-3708. 2016年6月1日閲覧。(索引番号:34047)
- netkeiba.comより(最終閲覧日:2020年6月17日)
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