バンドはライブ活動にも取り組んでおり、スタッフェルによれば、レパートリーはオリジナル曲とカバーを織り交ぜたものだった[3]。デビューは1968年10月26日だったとされている[10]。1969年2月27日に行われた未婚の母とその子どもたちのためのナショナル・カウンシル(英語版)(英: National Council for the Unmarried Mother and Her Child)での演奏は、バンドにとって最大のパフォーマンスになった[4]。ボンゾ・ドッグ・ドゥー・ダー・バンドなども出演してロイヤル・アルバート・ホールで開かれたこのチャリティ・イベントで[4]、バンドはメイがギター、テイラーがドラム、スタッフェルがベースギターを担当して演奏した。スタッフェルによれば、キーボードのクリス・スミス (Chris Smith) という人物がいたが、このイベントの直前に辞めさせられていたという[11](スミス本人によれば、彼はほんの一時バンドに在籍していただけで、違ったスタイルの音楽に興味が向いたことから、自発的にバンドを離れたのだと述べている[12])。タイム・アウト掲載の情報によれば、スマイルはロンドンでかなり沢山のギグを行ったようである。また4月19日にはスピークイージー (The Speakeasy) で演奏し[13]、5月31日にはウィスキー・ア・ゴーゴー (the Whisky-A-Go-Go) で演奏した。1969年3月、バンドは PJ’s という会場で演奏したが、この際観客を確保するために、自分たちの曲がBBC Radio 1で放送されたと主張した[13]。しかしながらこの主張は架空のものだったようである[12][13]。
マーキュリー・レコードとの契約はアメリカでのシングル発売を前提にした1度限りのレコーディング契約であり、トライデント・スタジオで行われた初収録で、彼らはスタッフェルの『アース』"Earth"、メイの『ステップ・オン・ミー』"Step on Me"、メイ・スタッフェル共作の『ドゥーイン・オール・ライト』"Doin' All Right" の3曲を収録した[14]。アメリカでの宣伝に向けたレコーディングではあったが、結局この曲は商業的に成功しなかった(1969年8月にシングル『アース』"Earth" が発売されたが不発に終わった[4])。一方でマーキュリー・レコードは、同年9月に3曲を追加で収録する許可を出した。この際の収録曲はスタンリー・ルーカス (Stanley Lucas) による『エイプリル・レディ』"April Lady"、メイが作ったインストゥルメンタル・トラック『ブラッグ』"Blag"、そしてメイが作曲とリードを務めた、「ホッキョクグマに関する優しい曲」(a "gentle song about a polar bear")[13]こと『ポーラー・ベア』"Polar Bear"で、収録はデ・レーン・リー・スタジオ(英語版)で行われた[15]。しかしながら、この収録後もレコードの発売には至らなかった。スマイルがスタジオ収録した6曲が日の目を見ることになったのは、日本限定で1982年に発売されたLP盤『ゲッティン・スマイル』"Gettin’ Smile" が初であった[3]。
ディーコンが加入して作られたファースト・アルバム『戦慄の王女』には、スマイル時代の曲『ドゥーイング・オール・ライト』"Doing All Right" が収録された[注釈 2]。書籍 "Queen: The Early Years" によると、スタッフェルはメイとの共作クレジットを得て、アルバム売り上げからロイヤルティーを得ることができ、充分に補償された様子である[20]。クイーンは他にも、ジョン・ピールと出演したBBCでの初収録セッション(1973年)でこの曲を演奏している[3]。このセッションの様子は、3度目のセッションと共に、イギリスでは1989年の『アット・ザ・ビーブ』"At the Beeb"(バンド・オブ・ジョイ・レコーズ[注釈 3])、北米では1995年の "Queen at the BBC" へ収録された。また1995年にクイーンが発表したシングル『レット・ミー・リヴ』"Let Me Live" には1973年のこのセッションから3曲が収められ、『ドゥーイング・オール・ライト』もその中に含まれている[21]。
CD『ゴースト・オブ・ア・スマイル』"Ghost of a Smile" は1997年にオランダでシュードニム・レコーズ (Pseudonym Records) から発売されたものである[29]。収録されたスマイルの曲は全てリマスターされていた[3]。CDのブックレットにはスタッフェルによる新しいライナーノーツが寄せられた[30]。このアルバムにはエディ・ハウエル (Eddie Howell) とフレディ・マーキュリーがコラボした『ザ・マン・フロム・マンハッタン』"The Man from Manhattan" が2パターン収録されているが、この曲はメイがギターを弾いているということ以外、スマイルに何ら関係ない曲である[30]。
"Doin' Alright":クイーンにより、1973年2月5日に行われた初のBBCセッションで収録されている。このバージョンはイギリスでは1989年の『アット・ザ・ビーブ』、北米では1995年の "Queen at the BBC" に収録され、その後シングル『レット・ミー・リヴ』のカップリングとして収められた(→#歴史)。クイーンは1973年発売のデビューアルバム『戦慄の王女』"Queen" にもこの曲を収録しているが、タイトルは微妙に異なる "Doing All Right" に変更されている。この時のバージョンは、エレクトラ・レコードから1974年にアメリカ合衆国限定で発売された『ライアー』"Liar" の7インチシングルにも収録された。
"See What a Fool I've Been":クイーンは第2アルバム『クイーン II』のセッション中だった1973年8月にこの曲を収録した。アルバムそのものには収録されなかったものの、その後1974年発売の『輝ける7つの海』シングルカットでB面収録される。このバージョンは後にボックス・セット『ザ・コンプリート・ワークス(英語版)』のボーナスLP『コンプリート・ヴィジョン』"Complete Vision" に収録された。また『クイーン II』はハリウッド・レコードから1991年にアメリカ向けに再版されたが、その際この曲は特典トラックとして収録された。1987年と1990年にイギリス・日本でそれぞれ発売された8センチCDシングルでは、再び『輝ける7つの海』のB面として収録された。また、クイーンはジョン・ピールと共演した4回目のBBCセッションでこの曲を収録している。