ザ・ミラクル
『ザ・ミラクル』(The Miracle)は、イギリスのロックバンド・クイーンの13枚目のアルバムである。 このアルバムは、海外ではレコードとCDとの同時発売ではあるが、収録時間が長く、レコード収録バージョンは時間をカットされて短く編集された。またボーナストラックがCDより少なかったりすることから、CDとしてのリリースが前提のアルバムと考えられる。 アルバムタイトルは、当初『The Invisible Man』が予定されていたが、リリース間近に現在の『The Miracle』に変更された。 解説長い活動休止とソロ活動の末にリリースされたアルバムである。音楽的な活気がみなぎっていたため、ファンはクイーンのライヴ活動継続を期待するが、当時のインタビューにおいてフレディ・マーキュリーは、このアルバムに伴うツアーを行わないことを語った[注 1]。この頃アメリカや日本ではクイーンの人気は一段落していたが、1985-86年にツアーを行ったイギリスをはじめとするヨーロッパ各国、南米では相変わらずヒットアルバムとなった。 この頃のクイーンはスタジオでセッションしながら曲を構築していく方法が多くなり、全曲がメンバー全員の共作とクレジットされた。また、アルバムに収録しきれない数曲[注 2]を、CDシングルのカップリング曲として発表したばかりか、続けて次作アルバムの録音にとりかかる。 フレディ・マーキュリーはこのアルバムの製作中に、自分がHIVに感染していることをメンバーに告白したと言われている。 アルバムジャケット4人の顔が合成されているジャケットも当時話題を呼び[注 3]、バラバラになりかけていた4人が再び一体となっていることを表現していると言われている[注 4]。また、映像作品『グレイテスト・ビデオ・ヒッツ2』のジャケットにもなっている。 2022年のインタビューでブライアン・メイは「今ではフォトショップで簡単に作ることができるが、当時はアートワークを制作するのに必要な機械は部屋ほどの大きさがあり、そのプロセスは当時としては非常に「進取的」なものだった」と語っている[1]。 発売日収録曲
A面
B面
ボーナストラック
曲解説パーティ『パーティ』は、フレディ、ブライアン、ジョンでのジャム・セッションから始まった。フレディはピアノを弾き「we had a good night」と歌い、それから3人が交互に働いて曲を完成させている。残りの曲は全て単独のメンバーが書いている(クレジットはクイーン)が、この曲は「クイーン」作曲と見なすことができる唯一の曲である。ブライアンは、導入の一部でリードヴォーカルをとっている。 カショーギの船『カショーギの船』は、フレディを始め全員が歌詞と曲を提供した。この曲は、有名な億万長者アドナン・カショギと、彼が所有していた、当時世界最大のメガヨット[注 6]について歌ったものである。アルバムでは、この曲は『パーティ』からシームレスに続いており、歌詞のテーマも非常に似ている。この曲は、ミュージカル『ウィ・ウィル・ロック・ユー』で、カショーギというキャラクター名に使われた。 ザ・ミラクル→詳細は「ザ・ミラクル (曲)」を参照
アイ・ウォント・イット・オール→詳細は「アイ・ウォント・イット・オール」を参照
インビジブル・マン→詳細は「インビジブル・マン」を参照
ブレイクスルー→詳細は「ブレイクスルー (クイーンの曲)」を参照
レイン・マスト・フォール『レイン・マスト・フォール』は、ジョンとフレディの共作である。ロジャーは多くのラテン・パーカッションを演奏しているが、このほとんどは、ヴォーカルハーモニー、ギター、キーボードのために取り消され、この部分をフレディとジョンが共同作業している。 スキャンダル→詳細は「スキャンダル (クイーンの曲)」を参照
マイ・ベイビー・ダズ・ミー『マイ・ベイビー・ダズ・ミー』は、フレディとジョンの共作である。アルバムを緩和するため、両者はシンプルな曲のアイディアを持ち合わせていた。1989年のラジオ1のインタビューでは、フレディとジョンがベースラインをお互いに構成したと語った。 素晴らしきロックン・ロール・ライフ『素晴らしきロックン・ロール・ライフ』は、フレディによって作曲された。この曲は、1970年代につくられた複雑なサウンドに遡る。歌の大部分はフレディによって考えられたが、全てのメンバーがアイディアや歌詞を提供した[注 7]。ジョンは、後にこのアルバムでお気に入りの曲としてこの曲を挙げている。ロジャーは、ゴングやティンパニを使用している。 チャート
認定
参加ミュージシャンクイーン
外部ミュージシャン
脚注注釈
出典
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