ヘヴン・フォー・エヴリワン
「ヘヴン・フォー・エヴリワン」(Heaven for Everyone)は、クイーンのドラマーロジャー・テイラー作の楽曲。もともとは彼のサイドプロジェクトであるザ・クロスが1988年にリリースしたアルバム『夢の大陸横断』に収録されており、そこではフレディ・マーキュリーをゲスト・ボーカルに迎えていた。後年クイーンによって再録され、1995年のアルバム『メイド・イン・ヘヴン』に収録された。マーキュリーの没後4年で最初のシングルとしてリリースされ、全英シングルチャートで2位になった[1]。1988年のリリース時の邦題は「安住の地」であった[2]。 デヴィッド・マレットが監督したミュージック・ビデオは、ロンドンのケンジントンにある自宅のガーデンロッジにあるマーキュリーへのグラフィティメッセージの画像で始まり、その後、 ジョルジュ・メリエスの1902年のサイレント映画『月世界旅行』と1904年の『The Impossible Voyage』からの映像が続く[3]。 背景と制作『ハイランダー 悪魔の戦士』での作業が完了した後の1986年、テイラーはクイーンのアルバム『カインド・オブ・マジック』でのセッションの一部として曲を書いたという説がある。 もしそうなら、その曲は使われなかったか、アルバムが完成した時点ではまだ不完全だったということだろう。 テイラーがアルバム『Shove It』の制作を開始したとき、彼はフレディ・マーキュリーにボーカルを依頼し、2つのバージョンを録音した。1つはテイラーのリード・ヴォーカルにマーキュリーのバックボーカルを合わせたもの、もう1つはマーキュリーがリードボーカルをとったものである。テイラーがリードを歌ったバージョンは、マーキュリーのものよりも約20秒長くなっている。 また、ザ・クロスのバージョンでは、イントロ・中間部のそれぞれにテイラーによる韻文の朗読が収録されている(マーキュリー版では歌われていないが、歌詞カードには記載がある)。そして、どちらも共通してテイラーの"And that is the end of this section."というセリフで曲が終わる。この曲がアルバムの半分の収録順であることからのセリフなのか、それともアルバム内で唯一の「深刻なテーマを扱う曲」である同曲の終わりを意味するものなのかは不明である。 英国では、『夢の大陸横断』にマーキュリー版、シングルにテイラー版を収録している。 米国では、アルバムにテイラー版を収録し、シングルカットはなされなかった。 テイラーは後に、この歌は「愛と尊厳、そして反戦について扱っている。」と発言している。 担当ザ・クロス版
クイーン版[4]
収録曲ザ・クロスのシングル盤(1988年3月20日発売)
フレディー・マーキュリーの死後、クイーンはアルバム『メイド・イン・ヘヴン』を完成させるにあたり、この曲をクイーンの新曲として再演奏することにした。 1987年に録音されたマーキュリーのボーカルに新しい伴奏とバックボーカルが加えられた。ザ・クロス版に含まれていたテーラーによる韻文の3パートは、クイーン版には含まれていない。クイーンは、これらの要素を削除した理由は明らかにしていない。 1995年10月23日 (アルバムをリリースする2週間前)、同アルバムからは最初のシングルとして英国で発表された。1995年10月30日 (アルバムをリリースする1週間前)、この曲を共通のA面としてB面収録曲が異なる二枚のシングルがリリースされた。シングルのリリースにあたって、曲中のインストパートが部分がカットされた(ほぼ1分相当)。 クイーンのシングル盤(1995年発売)
ミュージック・ビデオクイーンによるミュージック・ビデオはデヴィッド・マレットが監督し、1995年に公開された。 [3] ビデオは、ケンジントンにあるガーデンロッジ のマーキュリーを追悼する落書きのカットで始まり、ジョルジュ・メリエスによる映画『月世界旅行』(Le Voyage dans la Lune, 1902年)、『The Impossible Voyage』(Le Voyage à travers l'impossible, 1904年)、そして『The Eclipse』( L'éclipsedu soleil en pleine lune, 1907年)からの映像が続く。 [3] 2つめのミュージック・ビデオはSimon Pummellが監督し、「サードハンド」というロボットを操作するキプロス系オーストラリア人のパフォーマーStelarcを起用し、人間と機械の新しい時代を象徴している。 ザ・クロス版のミュージック・ビデオでは、カメラは三段構成のセットを行き来する。下段では老人二人が火を焚き、中段ではザ・クロスが演奏し、上段ではテイラーがビーチのようなでセットで弾き語りをしている。 チャートと売上
参照資料
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