Power Mac G4 Cube
Power Mac G4 Cube(パワーマック ジーフォー キューブ)は、Apple Computerが開発し、2000年8月から販売していたパーソナルコンピュータ。 通称は「Cube」。その名のとおり、「立方体の氷」をイメージした製品コンセプトとなっている。 概要Power Mac G4 Cubeは、当時Apple最高経営責任者(CEO)だったスティーブ・ジョブズが中心となって開発が進められた。 発売前、経営陣に対してジョブズは、デザインテーマであるCUBE(氷)にかけて「史上最高にクールなコンピューターをつくったんだ」「息をのむほど美しい」とプレゼンした。また、誰が買うのかという質問に対して、「大勢のプロフェッショナルがいる。デザイナーはひとり残らず買うことになるだろう」と答え、「数百万台は売れる」と豪語したという[1]。 全く新しいモデルとして2000年7月に発表[2]され、同年8月に発売された。開発コードネームは「Trinity」「Rubicon(Early 2001)」。 2001年7月3日、Appleが公式に生産中止を発表したプレスリリースの見出しでは、ここでもCUBE(氷)にかけて「凍結する」(on ice) という表現が使われた。 製品内容その名の通り、約8インチ (20cm) の立方体型の筐体が最大の特徴である。シルバーの筐体は透明のポリカーボネートで覆われており、筐体の下部分は透明のポリカーボネートのみでシルバーの立方体が宙に浮いているように見えるデザインで、外部ポート群は底部に集められており、電源部は内蔵されておらず、大きな外部電源ユニットを利用する[3]。 熱は上に上がるという特性を活かし、筐体下部から中央にある垂直冷却管を通り、天板の排気口へ空気が流れることによって行われるという冷却方法を取り、冷却ファンを搭載していない。そのため非常に静粛性が高い。反面、環境によっては熱問題がつきまとうため、エアコン環境での使用が推奨される仕様であった[4]。 また、光学ディスクドライブはスロットローディングタイプを採用し、筐体上部からトースターのように飛び出てくるユニークな設計となっていた。 ロジックボードはPower Mac G4のものを拡張スロットを廃止するなどして小型化したものだが、ビデオカードはオンボードではなくライザーカードでロジックボードと平行に搭載、立方体型の筐体に収めるために工夫されている。 メンテナンス性にも考慮しており、本体を逆さにしてハンドルを引くとロジックボードなど主要なコンポーネントにアクセスでき、メモリやAirMacカードが簡単に装着できるようになっている。 新開発されたApple Pro MouseとApple Pro Keyboard、アンプやスピーカーはハーマン・カードンとの共同開発のものが付属され、これに併せ新しいデザインのApple Studio DisplayとApple Cinema Displayも販売された。 売上と問題点発表以来大きな注目を浴び、性能も上位モデルであるPower Mac G4と近かったが、拡張性などに乏しく、高性能を必要とする多くの顧客がPower Mac G4を選択し、販売は芳しくなかった[5]。数百万台は売れるとジョブズはプレゼンで発言していたが、最終的に販売数は15万台を下回る結果となった。 下記に挙げられるような様々な問題によるリワーク(改修)が実施されたことも、コスト増大に影響して赤字に陥った[5]。そのため2001年7月には生産終了を発表した[6]。
評価Cubeは様々な問題点を抱えていたものの、筐体デザインは高く評価され、ニューヨーク近代美術館 (MoMA) のデザインコレクションとしても所蔵されている。 デザイン性の高さから、世界中に熱狂的なファンが存在する。そのため販売が中止された後も、Cube専用のCPUアップグレードカードや、冷却性能を向上させるための改造キットなどが多数販売されていた。 DOS/V機においても、立方体の筐体がCube発売以降に販売されるようになり、省スペースパソコンというジャンルとなっている。 スペック
脚注
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