甲府在番
『甲府在番』(こうふざいばん)は、松本清張の短編小説。『オール讀物』1957年5月号に掲載され、1958年6月に短編集『甲府在番』収録の表題作として、筑摩書房より刊行された。 あらすじ旗本小普請組の伊谷求馬は、兄・伊織の病死の報のあとをうけて家督をつぎ、甲府勤番を命ぜられた。甲府にはいった求馬は、伊織が実際は行方不明であり、鰍沢で見かけたのが最後であると組頭から聞く。組頭に身延山参詣を申し出た求馬は、鰍沢から下部温泉へ向かい、その湯宿で老人と女に遭遇するが、兄からの手紙にあった熊輪の謎はわからなかった。 求馬は、近所に住む上村周蔵から、内密の仕事として絵図面掛りに命じられた伊織が、下部からさらに東の奥を踏査中に金鉱があるのを嗅ぎつけ、こっそり奪ろうと企んだのではないかとの推量を聞き、周蔵は、湯宿の老人は武田信玄の時代に金鉱一帯を監視するために置かれた山口衆の子孫・弥平太で、自分も伊織同様に金を奪って、それを賄賂に江戸に帰るつもりだと求馬に言う。 求馬は湯治を口実に下部で周蔵と合流し、弥平太とその妾・おしんの住む部落の家から、熊輪の場所へ向かおうとするが、案内人なしには単独では戻れない、雪の山だらけの中にはいっていた。 エピソード
舞台版
なおこの公演は同年の8月13日と8月20日、フジテレビ系列(FNS)の「夜の十時劇場」枠(22:00-23:30)にて2回にわたり放映された。
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