青のある断層
『青のある断層』(あおのあるだんそう)は、松本清張の短編小説。『オール讀物』1955年11月号に掲載され、1957年12月に短編集『詐者の舟板』収録の一作として、筑摩書房より刊行された。 あらすじ銀座の通りに面する奥野画廊は、画壇の大家になりつつある、姉川滝治の絵を多く持っていた。秋の陽ざしのある日、長身の若い男が画廊にはいってきて、奥野に自分の絵を見てくれるように頼む。気のない顔で絵に向かった奥野だったが、しだいに真剣な眼になり、畠中良夫というその青年に、ほかの絵を持ってくるように頼む。 荻窪に帰った良夫は、絵が売れそうだと妻の津奈子に喜ぶ。良夫の絵は、技術を知らない稚拙な風景画だったが、不思議なエスプリがあった。ただ、良夫は絵が好きだというだけで、先生がなかった。 伊豆半島の中央部、船原温泉に向かう奥野は、近ごろあまり作品を発表しなくなった姉川滝治が、描こうとしないのではなく、描けなくなったことがわかっていた。姉川の面倒をみてきた奥野は、伊豆の山奥の温泉にのがれている姉川に、持参した一枚の絵を見せる。奥野は姉川の眼が興奮していることを知る。翌朝、奥野は、ずたずたに切られた畠中良夫の画布を、火の中に入れて燃やす。 絵を改めて勉強したいと思った良夫は、絵描きの知り合いの佐伯に相談し、先生について習うことにした。しかし、少しは自分でも描き方がうまくなったと思ったとたん、奥野画廊に絵の買い取りを断られてしまう。 エピソード
テレビドラマ
1961年版1961年5月29日、TBS系列の「ナショナル ゴールデン・アワー」枠(20:30-21:00)、「松本清張シリーズ・黒い断層」の1作として放映。
1965年版1965年12月21日、関西テレビ制作・フジテレビ系列(FNS)の「松本清張シリーズ」枠(21:00-21:30。早川電機工業一社提供)にて放送。
関連項目
脚注出典 |