キム・ヨンギョン (ハングル : 김연경 、金軟景、1988年 2月26日 - )は、韓国 ・京畿道 安山市 出身の女子バレーボール 選手。元韓国代表 。
来歴
幼少期
大韓民国 京畿道 安山市 生まれ。バレーボールをしていた姉の影響を受け、小学校4年生の時に安山西小学校 のバレーボール部に入部し、バレーボールを始める。その後、元谷中学校 とハンボム高等学校 (旧:韓一電算女子高等学校)に進学。
高等学校入学時には170cmとさほど高くはなかった身長は、高等3年間で約20cmも伸びた。(プロデビューした17歳の時188cmだった)
大韓民国ジュニア代表から招集され、2004年アジアユース選手権(2位)、2005年世界ユース選手権(5位)に出場。
プロデビュー
2005/06 韓国Vリーグ でのキム
韓一電算女子高校卒業後、ドラフトで2005年に興国生命ピンクスパイダーズ に入団。同年17歳で韓国代表 に選出され、2005年ワールドグランドチャンピオンズカップ では、アタック得点で全選手中3位の成績を修める活躍をした。2005-06年韓国Vリーグではチームの優勝に貢献し、MVPと新人賞を獲得した。
2006-07年の韓国Vリーグも優勝を果たし、2年連続でレギュラーラウンドMVPファイナルとMVPを獲得した。2007-08年の韓国Vリーグは優勝は逃したものの歴代最高のスパイク決定率である47.59%を記録し、3年連続でスパイク賞を受賞した。世界選手権 、ワールドカップ などに出場した。
国外移籍
2009年、韓国Vリーグと初の自国開催となった日韓トップマッチの優勝に導き、MVPを獲得した。同年5月、キムの日本のVプレミアリーグ のJTマーヴェラス 入団が発表され、韓国プロバレーボール史上初となる国外移籍選手となった。同年11月のワールドグランドチャンピオンズカップ では、ベストスコアラー賞を受賞している。
2009-10年のVプレミアリーグでは、セッター・竹下佳江 とのコンビで大車輪の活躍を見せ、チームを開幕25連勝へ導くと共に自身も得点王となった。決勝では東レ のエース・木村沙織 に打ち負け準優勝に終わるが、翌2010-11年シーズンでは優勝を果たし、キム自身もMVPを獲得した。続く黒鷲旗 も制覇した。
2011年5月、キムはJTマーヴェラスを退団し、トルコリーグのフェネルバフチェ に移籍した[ 1] 。
2012年の欧州チャンピオンズリーグ ではアジア人初のMVPと得点王を獲得した。
2012年5月のロンドンオリンピック世界最終予選 において、2大会ぶりの予選突破に大きく貢献した。8月の同大会本戦 でも韓国代表36年ぶりとなるベスト4進出の原動力となり、キムはベストスコアラー と最優秀選手(MVP)に輝いた。なお、4位のチームから最優秀選手が選出されるのは異例のことであった[ 2] [ 3] 。
2014年よりキムは代表チームの主将を務め、同年のワールドグランプリ の予選ラウンドでは得点ランキング1位となる活躍を見せチームを牽引した。
2015年5月、トルコリーグ優勝を果たし、MVP・ベストスコアラー・ベストスパイカーの3冠を受賞[ 4] 。同年8月のワールドカップ でもベストスコアラーを獲得した。
2016年4月、欧州チャンピオンズリーグにて準優勝し、キムも自らベストアウトサイドヒッター賞を受賞した。2017年6月、中国バレーボールリーグ の上海国華人寿に移籍した[ 5] [ 6] 。
韓国Vリーグ復帰
2020年より仁川興国生命ピンクスパイダーズ に復帰。
2023年、女子韓国代表のアドバイザーに就任した[ 7] 。
人物
韓国国内では“100年に1人の逸材 ”と称されている。
キムは2シーズンを日本で過ごしたこともあり、大抵の日本語が話せるようである。
大友愛 、狩野舞子 、木村、栗原恵 、井野亜季子 等と親交があるほか、木村の著書でキムは「いつか同じチームで一緒にプレーがしたいです」とコメントした。
JTでチームメイトだった竹下佳江 のことを「おばちゃん」と呼んでいた。
JT時代はそのキャラクターが非常に愛された。実力もさることながら、チームのムード盛り上げ役も兼ねることとなった。JTを去り帰国をする際はJTメンバー全員が空港まで見送りに駆けつけた。
攻守において万能であり、レセプション (サーブレシーブ)、DIG (スパイクレシーブ)も非常に優秀である。
オランダ代表 を務めるジョバンニ・グイデッティ 監督はキムのことをこう評した。
Body of Russia, power of United States, the technique like Korean and quickness of Brazil all in one player. She is the best player in the world for sure!
「ロシア人の体、アメリカ人のパワー、韓国人の技術、そしてブラジル人の速さを兼ね備えている。彼女は間違いなく世界一の選手だ。」
I think Kim Yeon Koung is the best player in the world; I have not seen anyone like her in the last 30 years.
「彼女は世界のベストプレイヤーだ。彼女のような選手は過去30年見たことがない。」
2012ロンドン五輪3位決定戦で日本に敗れ、珍しく大泣きした[ 8] 。
2017年アジア選手権において、キム・ヨンギョン自身が使用する日本製のシューズに貼ってあった「大韓独立万歳」ロゴの箇所をシールで隠してあった事が日本国内で波紋を呼んだ。これについてキム・ヨンギョンはこうつぶやいた。その後、行われたグラチャンバレーでも韓国選手が日本製シューズに貼ってあった同じロゴを同様にシールで隠していた。ちなみにキム・ヨンギョンを始め、主力の韓国選手はグラチャンには出場しなかった。
2018年 8月に行われたアジア大会ではチームの主力として出場。 自身最後のアジア大会になるだろう韓国は準決勝でタイに敗れたが3位決定戦で日本を下し悲願の銅メダルを獲得した。
韓国代表 を務めるステファノ・ラバリーニ 監督はキムのことをこう評した。
「キムヨンギョンはキャプテンを超えた韓国のリーダー。カリスマ性と実力で常にチームを団結させてくれる。素晴らしいリーダーであり立派な人物だ。」
球歴
大韓民国ジュニア代表 - 2004-2005年
アジアユース選手権 - 2004年(3位)
ユース世界選手権 - 2005年(5位)
大韓民国代表 - 2005年- 2021年
オリンピック - 2012年(4位)、2016年(5位)
世界選手権 - 2006年(13位)、2010年(13位)、2018年(17位)
ワールドカップ - 2007年(8位)、 2011年(9位)、2015年(6位)、2019年(6位)
ワールドグランプリ - 2009年(12位)、2011年(9位)、2012年(14位)、2014年(9位)
ワールドグランドチャンピオンズカップ - 2005年(6位)、2009年(5位)
アジア競技大会 - 2006年(5位)、2010年(2位)、2014年(1位)、2018年(3位)
アジア選手権 - 2009年(4位)、2011年(3位)、2013年(3位)、2015年(2位)、2017年(3位)、2019年(3位)
所属クラブ
受賞歴
個人成績
リーグ別成績
韓国Vリーグ[ 10] 、Vプレミアリーグ[ 11] 、トルコリーグ[ 12] [ 13] 、中国リーグ[ 14] レギュラーラウンドとファイナルラウンドにおける個人成績は下記の通り。
2011/12 - 2012/13 トルコリーグ、中国リーグの個人成績は記録されなかった。
レギュラーラウンド
シーズン
所属
出場
アタック
ブロック
サーブ
サーブレシーブ
得点
備考
試合
セット
打数
得点
失点
決定率
効果率
決定
/set
打数
エース
/set
得点率
受数
成功率
総得点
/set
ブロック
ミス
2005/06
興国
28
110
1366
542
48
116
39.7%
27.7%
36
0.33
432
45
0.41
10.42%
468
63.5%
756
6.87
[ 注 1]
2006/07
23
90
974
439
34
62
45.1%
35.2%
37
0.41
330
30
0.33
9.09%
482
58.7%
562
6.24
2007/08
28
102
1120
533
36
83
47.6%
37.0%
36
0.35
326
23
0.23
7.06%
593
61.4%
649
6.36
[ 注 2]
2008/09
28
117
1204
567
45
76
47.1%
37.0%
60
0.51
405
43
0.37
10.62%
719
59.4%
670
5.73
2009/10
JT
28
102
1322
630
85
47.7%
41.2%
48
0.47
384
13
0.18
3.39%
661
58.5%
696
6.82
2010/11
22
77
849
425
75
50.1%
41.2%
29
0.38
254
12
0.22
4.72%
437
71.9%
471
6.12
2013/14
フェネル
19
63
477
228
14
45
47.8%
35.4%
22
0.35
219
41
0.65
18.72%
295
34.9%
291
4.62
2014/15
17
58
528
248
16
45
47.0%
33.5%
29
0.50
275
54
0.93
19.64%
277
32.1%
331
5.71
2015/16
13
46
410
180
22
36
43.9%
29.8%
18
0.39
153
12
0.26
7.84%
291
33.3%
210
4.57
2016/17
16
59
488
227
14
43
46.5%
34.8%
20
0.34
227
26
0.44
11.45%
304
24.7%
273
4.63
2018/19
エジザー
17
51
405
170
19
24
42.0%
31.4%
17
0.33
194
10
0.20
5.15%
263
28.5%
197
3.86
2019/20
全ラウンド合算
シーズン
所属
出場
アタック
ブロック
サーブ
サーブレシーブ
得点
備考
試合
セット
打数
得点
失点
決定率
効果率
決定
/set
打数
エース
/set
得点率
受数
成功率
総得点
/set
ブロック
ミス
2005/06
興国
33
128
1627
646
58
142
39.7%
27.4%
40
0.31
505
48
0.38
9.50%
559
64.4%
910
7.11
2006/07
27
106
1183
532
44
75
45.0%
34.9%
43
0.41
386
34
0.32
8.81%
571
58.1%
679
6.41
2007/08
32
119
1329
621
48
103
46.7%
35.4%
37
0.31
386
26
0.22
6.74%
693
61.3%
751
6.31
2008/09
34
142
1469
703
54
101
47.9%
37.3%
70
0.49
503
53
0.37
10.54%
868
60.1%
826
5.82
2009/10
JT
32
116
1553
732
104
47.1%
40.4%
53
0.46
435
20
0.17
4.60%
731
59.5%
805
6.94
2010/11
22
77
849
425
75
50.1%
41.2%
29
0.38
254
12
0.22
4.72%
437
71.9%
471
6.12
2013/14
フェネル
27
93
846
394
31
69
46.6%
34.8%
32
0.34
323
48
0.52
14.86%
501
35.9%
474
5.10
2014/15
23
77
744
336
25
62
45.2%
33.5%
39
0.51
361
60
0.78
16.62%
399
31.1%
435
5.65
[ 注 3]
2015/16
19
71
662
289
30
58
43.7%
30.4%
24
0.34
231
16
0.23
6.93%
410
32.0%
329
4.63
2016/17
23
81
676
308
22
54
45.6%
34.3%
28
0.35
297
31
0.38
10.44%
421
23.3%
367
4.53
2017/18
上海
28
108
954
487
117
51.0%
38.8%
42
0.39
456
44
0.40
9.65%
450
84.9%
573
5.31
2018/19
エジザー
26
83
642
266
35
41
41.4%
29.6%
24
0.29
297
15
0.18
5.05%
452
26.8%
305
3.67
2019/20
カップ大会
オリンピック
年度
出場
アタック
ブロック
サーブ
サーブレシーブ
得点
備考
試合
セット
打数
得点
失点
決定率
効果率
決定
/set
打数
エース
/set
得点率
受数
成功率
総得点
/set
2012 オリン
8
31
388
185
47
47.68%
35.57%
15
0.48
124
7
0.23
5.65%
172
70.35%
207
6.68
2016 リオ
6
20
222
100
23
45.05%
34.68%
8
0.38
60
4
0.19
6.67%
121
34.71%
112
5.60
出演
日本のテレビ番組
韓国のテレビ番組
著書
脚注
注釈
^ 総合MVP、レギュラーラウンドMVP、新人賞、スパイク賞、サーブ賞、得点王を同時に受賞し、でプロデビューしたシーズンに6冠を達成した。
^ 3年連続でスパイク賞を受賞した。
^ サーブエース60とセット平均0.78は最高記録だけど、ベストサーバー賞ではなくスパイク賞を受賞した。
出典
外部リンク
Vプレミアリーグ 受賞 日本リーグ
Vリーグ
V・プレミア リーグ
V.LEAGUE DIVISION1
日本リーグ
Vリーグ
V・プレミア リーグ
V.LEAGUE DIVISION1
Vリーグ
プレミア リーグ
V.LEAGUE Division1
1980年代
1985年 1986年 1987年 1988年 1989年
1990年代
1990年 1991年 1992年 1993年 1994年 1995年 1996年 1997年 1998年 1999年
2000年代
2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年
2010年代
2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
★は黒鷲賞、☆は敢闘賞